好き勝手に電力を使っても、自然エネルギーだけで生活できるということがわかれば、そういった暮らし方は世の中におのずと広がっていく。実証生活を成し遂げて、実績を残したい」。開発に携わったバレッグス建築事業部渡邉実課長はこう話す。
住宅建築、不動産業を営むバレッグスは、2014年、チームオフグリッドプロジェクトを立ち上げ、電力受給を完全に断ち切ったオフグリッドハウスを完成させた。実証生活をするのは、プロジェクトを立ち上げたバレッグスの大本朋由社長とその奥さん、そして2人の娘さんの5人家族。お家のなかには、冷蔵庫やテレビ、エアコン、さらにホームシアターやオーディオ機器もあり、一般家庭以上の家電がある。それでも快適な生活を送れるのは、大容量の蓄電池システムを導入したお家だからだ。1日に消費する電力量を40kWhと想定し、蓄電池は72kWhの容量を導入した。この家の電力消費量は1日14kWh程度。住み始めて300日以上が経過したが、電気が足りなくなることはなかったという。この家のコンセプトは、過度な省エネをせずに、電力を自給自足すること。
これだけの設備が備わったオフグリッドハウス。でも、気になるのはその設置費用だ。渡邉さんは言う。「正直、費用は全然ダメです。蓄電池だけで設置工事費用を含めて3000万円でした。採算は合わないですが、自然エネルギーだけで普通に暮らせるかを実証することが、オフグリッドハウスの啓蒙活動につながってくれればと思ってやっています」。
オフグリッドハウスの生活で、暮らしはどう変わるのか。「生活する中でエネルギーをマネジメントする必要はあります。例えば、今何%蓄電池に残っているのかを把握して、残りが少ない時は過剰に電気を使わないようにするとか」。
